「働かないおじさん」はなぜ量産される? 早期退職で羽ばたけるのか

1: 2019/12/15(日) 20:16:58.40 _USER
企業にとって古くて新しい問題、それは「働かないおじさん」をどうするか、だ。

世間で人手不足や人材確保の難しさが叫ばれる中、味の素とLIXILグループ、ファミリーマートなど、大手企業が11月以降、相次いで早期退職を発表した。

こうした企業の多くは、収益悪化によってリストラを迫られているというより、早いうちに人件費の高い中高年社員という「重荷」を降ろしたいという思惑があるようだ。労働政策研究・研修機構の濱口桂一郎研究所長に、「働かないおじさん」が生まれてしまう理由や、背景にある日本の雇用制度について聞いた。(ジャーナリスト・有馬知子)

●賃金が働きぶりを上回る中高年世代 高齢者雇用で増す「重荷感」

――なぜ今、中高年社員の早期退職が相次いでいるのでしょうか。

早期退職の構造は過去数十年、全く変わっていません。年功序列型の賃金システムでは、中高年になると賃金が働きぶりを上回るケースが増えてきます。企業は彼らを定年まで雇い続けることに負担を感じ、早めに退出させようという圧力が働くのです。

1980年代に55歳だった定年は60歳に延び、希望する社員は65歳まで働き続けることも可能になりました。さらに政府は成長戦略で、70歳までの就業機会確保を打ち出しています。もちろんずっと昇給し続けるわけではありませんが、中高年の社員が会社を去るまでの期間が延びたことで、企業は彼らをより重荷に感じるようになった、と言えるでしょう。

――彼らはなぜ「働かないおじさん」と見なされてしまったのでしょう。

「働きぶりが給与に見合わない」のは彼ら自身の責任だけでなく、最初にお話しした年功序列型の賃金制度が原因でもあります。そして多くの日本企業は、中高年社員に管理職のキャリアパスしか用意していませんが、実際にはこのルートを外れる人も出てきます。

日本の「メンバーシップ型」雇用システムは、職務や勤務地などが限定されない雇用形態で、企業側が社員の勤務地や配属先の決定権を握っています。このため社員は自律的に、専門性を身につけることが難しいのです。中高年の社員が管理職コースを外れてしまうと、多くはスキルも持たない上に、今さら新たな部署でキャリアを再構築するのも難しく、行き場を失ってしまいます。中には、職場に貢献できずにモチベーションを失い、定年まで会社にしがみつこうとする人も出てきます。

●管理職と専門職、若手のうちに2つの道を用意して

――解決策はありますか。

「働かないおじさん」になってからでは遅すぎます。企業は20~30代の社員に対して、管理職とは別に、専門技能を身につけるためのルートを設けるべきです。専門的なスキルは50代、60代になっても維持できるため、若い頃とさほど変わらぬ成果を期待できます。

働きぶりが賃金に見合っていない中高年社員に対する、最も手近で短期的な効果が見込める解決法は「リソースを減らす」こと、つまり早期退職です。しかし、それは本来活用できたはずのリソースを捨ててしまうことでもあります。資源を資源として使えるようにするのが経営的にもベストの解決策ですし、労働者に対する企業の役割でもあるはずです。

――それは日本企業の中に、職務の限られた「ジョブ型」に近い働き方を作るということでしょうか。

そうです。「ジョブ型」の導入も今に始まった議論ではなく、長い間続けられてきました。

日経連は24年前、「新時代の日本的経営」という論文で、雇用の将来像を打ち出しました。その中ですでに、労働者は正社員と「高度専門能力活用型」という名のジョブ型社員、そして短期雇用労働者に3分されるという図式が示されています。しかし労働者は結局、正社員と非正規雇用に分かれただけで、「専門人材」は増えませんでした。メンバーシップ型の日本企業において、本当の意味で専門職が求められる状況にはならなかったということでしょう。
以下ソース
https://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20191215-00010529-bengocom-bus_all


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Source: 投資チャンネル
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