■「物価の優等生」
鶏卵は、安値安定ゆえに「優等生」と評されている。しかし、外食や中食で需要が伸び、2015年にMサイズの卸売価格が1キロ当たり年平均224円と24年ぶりの高値で推移したことから、生産者の大規模経営が進み、競って設備投資と増羽に踏み切った。
日本種鶏孵卵協会によると、昨年11月現在で3年前より本県は約16万1千羽増、全国では約106万5千羽増となっている。
例年1月は、正月休みで生産地に滞っていた在庫が大量に消費地へ出てくるため、価格が下落する傾向にある。今年は鶏の飼育数増加による供給過剰が一気に表面化した格好だ。
鶏卵加工卸売のあじたま販売(稲敷市)の大川智子社長は「加工業者も卵が余っている状況で、なかなか買い取ってもらえない」と明かした。同社は11日、主要取引先の大手食品スーパーや生産者らと今後の対応を協議。特売セールを検討する大手スーパーと取引のめどが立ち、大川社長は「一安心した。感謝の言葉しかない」と話した。
■生産抑制か
異例の安値を受け、生産抑制事業が行われる可能性も出てきた。業界団体の日本養鶏協会が実施主体となり、鶏舎を60日以上空けた生産者に国が補助金を出し生産を抑制する仕組み。
県央地域のある生産者は「生産者の手取りが増える可能性があるなら発動してほしい」と期待した。一方、別の生産者や鶏卵卸は「大手は順番で鶏を入れ替え、産む準備をしている。発動しても効果は限定的」と厳しい見方。
県内にグループ企業を抱えるイセ食品(東京都千代田区)は「生産者としては現状は非常に厳しい」と認めた上で、生産抑制事業の実施について「卸売価格が安値の状況で卵の流通量を減らすと収益が減ってしまい、さらに打撃となる可能性がある」と訴えた。
鶏卵販売の倉持産業(常総市)は「食品スーパーの特売で過剰供給分が少しずつ消費され、3連休明けから徐々に相場は回復するのではないか」と期待を込めて予想した。一方で、鶏は初卵から800日間にわたり、ほぼ毎日卵を産み続けるため、県内の生産者らは「長期戦を覚悟している」と話した。(小室雅一)
2019年1月12日(土)
茨城新聞クロスアイ
https://ibarakinews.jp/news/newsdetail.php?f_jun=15472138576710
続きを読む
Source: 投資チャンネル
【衝撃】鶏卵、供給過剰で15年ぶりの安値。昨年末の185円から約46%値下がり